39日目:ベロタクシーに会う(沖縄県那覇市)
 沖縄は予想以上に観光地化が進んでいた。海水浴シーズン前で、まだまだ旅行者は少ない時期なのだが、あちこちで観光客の姿を見かける。特に国際通りはすごかった。制服姿の修学旅行生や、若いカップル、外国人の団体旅行者などがひしめいている。京都でいえば新京極のような場所か。
 しかし国際通りを南に向けてずんずん歩いて行くと、ディープな地元ゾーンに入っていく。八百屋の店先に並んだフルーツのいろどりも、昭和の匂い漂うレトロな食堂も、おばあちゃんたちが小さなベンチに腰掛けてコーヒー牛乳を飲む姿も、どこを切り取っても「ザ・沖縄」だ。

 国際通りで「ベロタクシー」に出会った。
 ベロタクシーとはドイツ生まれの三輪自転車タクシーのこと。簡単に言えば「進化したリキシャ」である。ドライバーがペダルを漕いで進み、後ろに二人分の座席があるところはリキシャと同じだが、外見はずいぶん違う。
 まず車高が低い。通常の自転車よりも着座位置が低く、足を下ではなく前方に踏み込んで進む。たぶんこの方が疲れないのだろう。カラフルなボディーは樹脂製で軽そうに見えるのだが、総重量は140キロもあるという。その代わり、車体後部に備えた電池とモーターで「電動アシスト」が効く。もちろん変速機も付いている。だからリキシャのように坂道を押してやる必要はない。スマートでエコな乗り物なのだ。
 ちなみにベロタクシー1台のお値段はなんと100万円。軽自動車が買えちゃう値段にはびっくりした。しかし「リキシャは2万円で買えるんですよ」と言ったときの運転手・与那覇さんのリアクションは僕よりもずっと大きかった。
「そ、そんなに安いんですかぁ?」
「そうなんです。安物なんです」
 だからわずか1ヶ月で故障したりするわけだけど。


【ベロタクシーとリキシャが並び立つ】

「ベロタクシーの運転手になったのは2ヶ月前なんです」と与那覇さん。「最初の一週間は研修期間で、ベロタクシーの運転を教わりました。それからは国際通り近辺を流して客を拾うんです。お客さんのほとんどは観光客ですね」
 ベロタクシーの料金は500mまでの初乗りが350円で、以降100mごとに50円が追加される。通常のタクシーとさほど変わらない値段である。与那覇さんたち運転手の収入は歩合制で、売り上げの10%をベロタクシーを運営するNPO法人に納め、残りは自分のものになる。
「お天気に左右されますからね。売り上げがゼロという日もありますよ。一番稼いだ日でも1万円行くか行かないかですね」
 もちろんこれだけでは食べていけないので、運転手は他にもいくつかの仕事を掛け持ちしている。これから夏本番を迎えると割のいいバイトになるかもしれないが、稼げる期間はさほど長くはなさそうだ。



 ベロタクシーは那覇、京都、横浜など日本中の街で営業を始めている。
 のんびりと観光地を回るにはもってこいの乗り物だと思う。カラフルなボディーは沖縄の空によく似合っている。
 ちなみにベロタクシーを始めるのに営業許可はいらない。運転免許ももちろんない。だから僕がリキシャで同じことを始めたっていっこうに構わないわけだが、坂の多い那覇で本気の営業運転をするのは相当に厳しい。ベロタクシーの営業妨害もしたくはないしね。


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本日の走行距離:15.0km (総計:1213.9km)
本日の「5円タクシー」の収益:5円 (総計:22075円)

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by butterfly-life | 2010-04-17 20:42 | リキシャで日本一周


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