59日目:博多どんたく(福岡県福岡市)
 ひょんなことから「博多どんたく」に参加することになった。
 福岡市で泊めていただくことになった山口さんから、「リキシャを『国際どんたく隊』の一員としてパレードに参加させましょう」という提案があったのだ。「国際どんたく隊」とは福岡市内に住む世界各地からの留学生で構成されていて、インドなどからも参加者が来るので、リキシャが走れば良いアピールになるのではないかという。

 暑い盛りの午後1時に冷泉公園に集合。どんたくパレードには全部で440の団体が参加するそうで、揃いのユニフォームやハッピ姿のグループが続々と集まってくる。
 どんたくは元々「博多松囃子」という地元の祭りに端を発しているが、市民参加型の自由な祭りとして年々規模が拡大し、今では2日間で200万人もの人が集まるほどの超巨大イベントに成長している。当然のことながら、期間中には福岡市内のホテルはすべて埋まり、交通機関は大混雑になる。


【タイのパレードは美人揃いで気合いが入っていた】

 どんたくパレードは基本的に「なんでもあり」な感じだ。松囃子の伝統を受け継ぐ演舞もあれば、警察のマーチングバンドや高校のバトン部、子供ダンス教室の踊り、企業の広告を兼ねたキャラクターの行進、「花自動車」と呼ばれる派手な装飾を施した車などなど。はっきりした方向性、統一感がないのがパレードの特徴である。はっきり言ってゆるい。だからまぁリキシャが突然参加したって違和感なく受け入れてもらえそうではある。



 僕が参加した「国際どんたく隊」は200人からなるグループで、主に中国、台湾、韓国からの留学生を中心に組織されている。各国の民族衣装を着た留学生たちがお互いに写真を撮り合っていた。中でも台湾のグループはやたらノリが良くて元気だった。ルルさんという女の子が「リキシャに乗せてほしい」と言うので、どうぞどうぞと乗せてあげると、彼女はモーターショーのコンパニオンよろしくポーズを取るのだった。すかさずデジカメを取り出してパシャパシャと撮り始める留学生たち。全方位に笑顔を向けるルルさん。なかなか面白い光景だった。


【コンパニオンばりの笑顔のルルさん】

 午後2時から博多のメインストリートを行進した。リキシャの後ろにインドネシアやマレーシアの子供たちを乗せてゆっくりと走った。人で埋め尽くされた沿道の中を手を振りながら進むのはなかなかの気分だ。優勝したわけでもないのに優勝パレードをしているようで、テンションが上がった。
「どんたくって参加してみてはじめて面白いって感じる祭りなんですよ」と山口さん。「僕も最初は何が面白いのかよくわからなかったんですけど、一度パレードをやったらもう病みつきになってね」
 山口さんはインド哲学の専門家なので、インドであつらえた民族服を着ての参加。奥さんも派手なサリーを着て歩く。完全な日本人の山口さんが「インド」と書かれたプラカードを持って歩くのはちょっとした詐欺ではないかと思うのだが、インド服を着たひげ面の山口さんは遠目にはインド人にしか見えないので、これはこれでいいのだろう。


【インド人と並んでもあまり違和感のない山口さん】


【唐津市をアピールするゆるキャラの「唐ワンくん」と記念撮影。着ぐるみは暑いのか、あまり元気がなかった】


【パレード以外にも町中に小さな演舞台がいくつもある。これは建設会社・松本組の会場で踊りを披露するおばさん。「のら猫三度笠」だそうだ。にゃん】


 そんな風にしてどんたくパレードは慌ただしく終わり、山口さんの家に戻って祝杯(?)を挙げた。
 山口さんは大学でインド哲学を教えていた研究者で、サンスクリット語でインドの古典文献を読むのが専門だ。この道に入ったのは成り行きだったという。人があまりやっていない分野の研究をしたいと、受験のときになんとなくインド哲学を選んだのが今に繋がっている。
「僕の人生は基本的に決めうちなんですよ。イン哲もそうだし、23歳で結婚を決めたときもそうだった。『これだ』と思ったら、後のことは考えずにやることにしているんです」
 お父さんが長崎で被爆し、病弱だったので家はいつも貧しかったことや、高校の図書館で司書をしていた奥さんとのロマンチックな(?)出会いなど、お酒を飲みながらいろいろな話を聞かせてもらった。
 こうして、お祭りの夜は楽しく更けていった。


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本日の走行距離:19.4km (総計:1811.7km)
本日の「5円タクシー」の収益:115円 (総計:27295円)

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by butterfly-life | 2010-05-07 00:10 | リキシャで日本一周


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