元日もリキシャでひた走る三井です。高校時代にやった年賀状配達のアルバイトのことを思い出してしまいました。寒いことと元旦に早起きしなきゃいけないことを除けば、仕事はけっこう楽だったなぁなんて。
今日はジョイプールハットまで52キロの道のりでしたが、決して楽ではありませんでした。向かい風が強かったからです。 向かい風もリキシャの弱点のひとつです。リキシャのフォルムを見ればわかると思いますが、うしろの幌の部分がちょうど船の帆みたいにまともに風を受けてしまう構造になっているのです。エアロダイナミクス全盛の時代に逆行するデザイン。もちろんこの幌が「リキシャらしさ」を演出する重要なアイテムには違いないのだけど、そのせいでちょっとした向かい風でもペダルの重みがズドーンと増すことになってしまうのです。 出だしでいきなり道を間違えたのも痛かった。曲がるべき道に気づかずに、そのまま5キロほど進んだあとで、「ジョイプールハットはこっちの道じゃないよ」と地元のリキシャ引きに言われたのです。おいおいまた5キロ戻るのかよと気落ちしていると、そのリキシャ引きは親切にも別の道を教えてくれました。幹線道路に戻るよりもこっちの道を進んだ方が早いのではないかと。 教えてもらった道路はバスもトラックもほとんど通らない本当にローカルな道でした。ガァガァと鳴きながら歩くガチョウや、ちょこまかと走り回るリスに出会ったりする実にのんびりした田舎道だったのです。集落と田んぼとが交互に繰り返され、農村の暮らしぶりが手に取るようにわかる道。 向かい風はきつかったけれど、この風景の中を移動するのは楽しかった。確かに道を間違えたんだけど、そのことが結果的に僕をこの場所へと導いてくれたわけです。何が正しくて何が間違いだったのかは最後の最後までわからない。それが旅なのだと改めて感じたのでした。 ![]() 【お米を天日で乾かしている農家の女性。ローカルな道だからこそ出会えた一瞬】 さてジョイプールハットで泊まった宿は、可も不可もなくというありきたりの安宿なのですが、たいして期待もせずに「お湯は使えるの?」と聞いてみると、「あぁ使えるよ」というのです。それはありがたい。ここ数日は朝晩の冷え込みが相当に厳しくなっていて、水シャワーを浴びるのが苦痛になっていたのです。お湯が使えるのならそれに越したことはない。 部屋に荷物を運び込んでいると、ボーイが奇妙な器具を手にして入ってきました。螺旋状に巻かれたコイルから電気コードが伸びている。どうやらシンプルな電熱器のようです。これでバケツの水をお湯に変えろ、ということなのでしょう。なるほど、大型の温水器を買わずとも、これが一本でお湯が作り出せるのなら大変経済的です。 しかし問題なのはこの電熱器の安全性です。持ち手のところには「1000W」と書いてある。かなりのハイパワーです。試しにプラグをコンセントに差し込んでみると、接触部分からバチバチバチと火花が飛ぶ。電熱器からは煙が上がり、焦げ臭い臭いが部屋に充満する。 おいおい、これ大丈夫なのかよ。マジで心配になりましたよ。万一感電でもしたらタダでは済みそうにないですから。 でも結局お湯を使えることの魅力には逆らえなかったので、バケツに水を汲んできて、その中に電熱器を浸してスイッチオンしたのです。待つこと30分。ちゃんとお湯ができました。ワンダフル! でもよい子は決してマネしちゃダメよ。本当に危ないんだから。 ![]() ![]() 【電熱器でバケツの水をお湯に変える。くれぐれも感電にご注意を】 しかしよく考えてみると、バングラデシュでは「よい子はマネしちゃダメ」なことが町の至る所で行われている気がします。 昨日、僕のリキシャに取り付けてあるボックスの金具を修理してもらうために板金屋に行ったのだけど、そこではアーク溶接をあろうことか「素手」で行っていたのでした。高温、高電圧、飛び散る火花、そういうものに一切構うことなく素手で黙々と溶接する男。 すごいとは思いますよ。しかし教科書的には100%ダメでしょう。日本の職人ならあり得ないと首を振るはず。どうなってるんだバングラ人、それでいいのかバングラ人、と思わずにはいられなかったのでした。 (ちなみにウィキペディア「アーク溶接」には、『強力な紫外線を避けるため、アーク溶接作業には長袖、長ズボンの作業服、溶接面、皮手袋が必須である。さらに、ヒュームを避けるために防塵マスクが必須である』とある。バングラ人溶接工よ。やっぱり素手はまずいようだぞ!)
by butterfly-life
| 2010-01-02 02:48
| リキシャでバングラ一周
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■ 新しいブログへ ■ 三井昌志プロフィール 写真家。1974年京都市生まれ。東京都在住。 機械メーカーで働いた後、2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅に出る。 帰国後ホームページ「たびそら」を立ち上げ、大きな反響を得る。以降、アジアを中心に旅を続けながら、人々のありのままの表情を写真に撮り続けている。 出版した著作は8冊。旅した国は39ヶ国。 ■ 三井昌志の著作 ![]() 「渋イケメンの国」 本物の男がここにいる。アジアに生きる渋くてカッコいい男たちを集めた異色の写真集です。 (2015/12 雷鳥社) カテゴリ
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