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写真展が終了しました
 写真展「この星のはたらきもの」は盛況のうちに全日程が終了しました。足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。写真を見た方の反応を間近で感じることができて、とても充実した一週間でした。ぜひまたやりたいですね。


 以前にも報告会に来てくれた看護師の女性は、来年からオーストラリアに2年間留学して看護師の国際免許を取るつもりだ。晴れて免許が取れたら「国境なき医師団」などの国際NGOで医療支援活動に参加したいという。立派な目標をお持ちである。
「くじけそうになったら、このカレンダーの写真を見ることにします」
 と言って、来年のカレンダーを買っていってくれた。くじけないで頑張ってくださいね。

 仕事で沖縄に飛ぶ予定だった女性は、台風の接近に伴ってフライトがキャンセルになったので、幸運にも(不運にも?)写真展に来る時間が取れたという。
 宇都宮から駆けつけてくださった化学系メーカーのエンジニアの男性は、東京出張のついでに立ち寄ってくれた。
「土曜日にも仕事が入ってしまったんで、写真展に行けそうにないなぁと諦めていたところ、急に東京に出張することになったんです。これも運命ですね」
 素晴らしい出張辞令である。良きご縁があったのでしょうね。

 最近失業したばかりだという女性は、そんな大変な状況にもかかわらず、どこか晴れやかだった。
「東京の大企業にずっと勤めていると、働くってことの原点からどんどん遠ざかっている気がするんです。人間関係とか組織の論理とかが先に立って、一生懸命働くってことができなくなっている。ストレスばかりがたまってくる。そんなとき、同じ地球で働いている他の人たちの姿を見ると、なんだか元気が湧いてくるんです」

 23歳の大学生は、最近自転車で日本を旅してきたばかりなのだと言った。旅の途中で出会ったオリーブ農家に3週間も滞在し、旅を終えてからもその日々が忘れられず、本気で香川県に移住しようかと考えている。
「いま大学4年生だから就職活動もしなきゃいけないんです。でもこのまま東京の会社に就職するよりも、香川のオリーブ農家を手伝いたいという気持ちの方が強くなっているんです。僕はどうしたらいいでしょう?」
 難しい質問だ。旅先での出会いと、現実の生活はもちろん違う。そのオリーブ農家にしても農業だけでは食べていけないという現実があるようだ。しばらくはアルバイトをしながら農業を手伝うことになる。それでも彼はやってみたいという。
「それなら、やってみればいい。うまく行くかもしれないし、失敗するかもしれない。それは今の段階ではわからない。でも失敗したっていいじゃない。何度も失敗して、そこから自分が目指すべき道を見つけたらいいと思うよ」
「この1ヶ月、ずっと迷っていたんです。なかなか答えが出なくて。それで三井さんの写真展に来たんです。やっぱり汗を流して働くのって、いいですね」

 今回の「この星のはたらきもの」で展示した作品は、農業や漁業などの一次産業で働く人々の写真が多い。そこには働くことの原点があるからだ。汗を流して麦の収穫をするおばさん。美しいサリーを着て漁網を引く女性。田んぼを耕すために水牛を追う男。からだを使って働く人の美しさを切り取りたかったのだ。

 高度に発達した資本主義社会において一次産業の割合が減っていくのは仕方がないことだけど、それがあまりにも進みすぎると、自分がなんのために働いているのかを見失う人も増えてくる。
 お金を得ることだけが仕事の目的ではない。「働くこと」そのものの中に喜びが宿っているはずだ。
 僕がこの写真展を通じて伝えたかったのは、そんな「働く喜び」の原点だった。






by butterfly-life | 2010-09-02 19:48 | リキシャで日本一周


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